2026年3月11日
事業承継の相談はどこにすればいい?公的機関から民間まで5つの選択肢
「そろそろ事業承継を考えないと」と思いながらも、最初の一歩が踏み出せないという方は少なくありません。
その理由の多くは、「どこに相談すればいいのかわからない」ということ。税理士に聞くべきなのか、銀行に行くべきなのか、役所に窓口があるのか——情報が多すぎて、かえって動けなくなっている経営者が大勢います。
中小企業庁の調査によると、約6割の中小企業経営者が事業承継について「誰にも相談していない」と回答しています。相談していない理由の上位は「どこに相談すればよいかわからない」でした。
この記事では、事業承継の相談先として代表的な5つの選択肢を、それぞれの特徴・費用・向いているケースとともにわかりやすくご紹介します。
相談先1:事業承継・引継ぎ支援センター(公的機関・無料)
事業承継・引継ぎ支援センターは、国(中小企業庁)が各都道府県に設置している公的な相談窓口です。全国47都道府県すべてに設置されており、事業承継に関する相談を無料で受けることができます。
具体的には、次のようなサポートを受けられます。
- 事業承継の進め方に関する一般的なアドバイス
- 後継者候補を探す「後継者人材バンク」の利用
- M&A(第三者への引き継ぎ)のマッチング支援
- 専門家(税理士・弁護士など)の無料派遣
「まだ何も決まっていない」「漠然とした不安がある」という段階でも問題ありません。まずはここで現状を整理するのが、最初の一歩としておすすめです。
愛知県の場合は「愛知県事業承継・引継ぎ支援センター」(名古屋商工会議所内)に窓口があります。電話予約で相談日を決められます。
相談先2:商工会議所・商工会(地域密着・無料)
商工会議所や商工会は、地域の中小企業を支援する団体です。会員でなくても、事業承継に関する相談を受け付けている場合が多くあります。
商工会議所の強みは、地域の事情に詳しいこと。地元の企業ネットワークを活かした後継者紹介や、地域の補助金・支援制度の情報提供など、地域に根ざしたサポートが期待できます。
- 経営指導員による無料の個別相談
- 事業承継セミナーや勉強会の開催
- 事業承継・引継ぎ支援センターへの取り次ぎ
- 補助金(事業承継・引継ぎ補助金など)の申請サポート
日頃からお付き合いのある商工会議所があれば、まずそこに声をかけてみるのも良い方法です。
相談先3:税理士・公認会計士(税務・財務の専門家)
すでに顧問の税理士がいる場合は、事業承継の相談を持ちかけてみてください。事業承継では税金の問題が非常に大きなウエイトを占めるため、税務の専門家は心強い味方になります。
税理士に相談するメリットは次の通りです。
- 自社株の評価額を試算してもらえる(株価によって贈与税・相続税が大きく変わります)
- 事業承継税制(納税猶予の特例措置)の適用可否を判断してもらえる
- 贈与・相続・売却それぞれの税負担を比較してもらえる
- 事業承継計画の策定を一緒に進められる
ただし、すべての税理士が事業承継に詳しいわけではありません。相続税や事業承継を専門とする税理士、もしくは「認定経営革新等支援機関」(経済産業大臣の認定を受けた専門家)に相談すると安心です。
費用は、顧問料の範囲で対応してもらえる場合と、別途コンサルティング費用がかかる場合があります。事前に確認しておきましょう。
相談先4:M&A仲介会社(第三者への引き継ぎ)
後継者が親族にも従業員にもいない場合、M&A(企業の合併・買収)によって第三者に事業を引き継ぐ方法があります。「M&A」と聞くと大企業の話に思えるかもしれませんが、近年は中小企業や個人事業主のM&Aが急増しています。
M&A仲介会社は、売りたい会社と買いたい会社をマッチングし、交渉から契約までをサポートしてくれます。
- 買い手企業の探索・マッチング
- 企業価値の算定(自社がいくらで売れるかの目安)
- 条件交渉・契約書作成のサポート
- 従業員の雇用継続を含む引き継ぎ条件の調整
費用は成功報酬型が主流で、売却金額の3〜5%程度が一般的な相場です。最低報酬(500万円〜2,000万円程度)が設定されている場合が多いため、小規模事業の場合は費用対効果をよく検討する必要があります。
なお、中小企業庁が運営する「M&A支援機関登録制度」に登録されている仲介会社であれば、一定のガイドラインに沿った対応が期待できます。
相談先5:業務自動化・仕組み化の支援サービス
ここまでご紹介した4つは、いずれも「承継そのもの」を支援するサービスです。しかし、実際に承継を進めようとすると、多くの経営者がこんな壁にぶつかります。
「引き継ごうにも、業務が自分の頭の中にしかない」
「後継者に渡せる状態になっていない」
見積もりの出し方、取引先との関係、現場の段取り——長年の経験で身につけたやり方が明文化されていないと、どれだけ優秀な後継者がいても引き継ぎは難航します。
こうした課題に対して、業務を「仕組み化」してから引き継ぐという考え方があります。
- 社長の頭の中にある業務手順を見える化・マニュアル化する
- 顧客管理、見積作成、日報集計など繰り返しの業務を自動化する
- 「社長がいなくても回る体制」をつくり、承継しやすい会社にする
私たちTOMOSHIは、この「仕組み化による事業承継支援」を行っています。ITに詳しくなくても大丈夫です。現場に合わせた形で、一つずつ業務を整理し、自動化していきます。承継の前段階として「引き継げる状態をつくる」お手伝いをしています。
どの相談先を選べばいいか——状況別の選び方
5つの相談先をご紹介しましたが、「結局どこに行けばいいの?」と迷われるかもしれません。状況別の目安をまとめました。
まだ何も決まっていない・情報収集段階
→ 事業承継・引継ぎ支援センターか商工会議所がおすすめです。無料で、幅広い選択肢を一緒に整理してもらえます。
後継者は決まっているが、株式や税金が心配
→ 税理士(事業承継に詳しい方)に相談しましょう。自社株の評価額試算や、事業承継税制の活用を検討してもらえます。
後継者がいない・会社の売却を検討したい
→ 事業承継・引継ぎ支援センターでM&Aの基本的な相談をしつつ、具体的に進める段階でM&A仲介会社を検討しましょう。
業務が社長に集中していて、引き継ぎの準備ができていない
→ まずは業務の仕組み化から始めましょう。属人化を解消し、「引き継げる会社」にすることが、どの承継パターンでも必要になります。
複数の相談先を並行して活用するのも有効です。たとえば、事業承継・引継ぎ支援センターで全体の方針を決めながら、税理士に税務面を相談し、並行して業務の仕組み化を進める——といった進め方は、実際に多くの経営者が取っています。
よくあるご質問
Q. 事業承継の相談は無料でできますか?
はい、公的機関であれば無料で相談できます。各都道府県に設置されている「事業承継・引継ぎ支援センター」や、地域の商工会議所・商工会では、事業承継に関する相談を無料で受け付けています。まずは電話で予約を取り、現状を整理するところから始めるのがおすすめです。
Q. 後継者がいない場合はどこに相談すればいいですか?
後継者がいない場合は、まず「事業承継・引継ぎ支援センター」に相談するのが最適です。センターでは後継者人材バンクの運営やM&Aのマッチング支援も行っています。親族や従業員への承継が難しい場合でも、第三者への引き継ぎ(M&A)を含めた幅広い選択肢を一緒に検討してもらえます。
Q. 事業承継の準備はいつから始めるべきですか?
理想は引退予定の5〜10年前からです。中小企業庁も「早めの準備」を推奨しています。後継者の育成、株式・資産の整理、業務の引き継ぎ体制づくりには時間がかかります。60歳を迎えたら、まずは情報収集として相談窓口を訪ねることをおすすめします。
事業の灯を、消さない。
TOMOSHIは、中小企業の業務を仕組み化し、「引き継げる会社」をつくるお手伝いをしています。承継の相談先は決まったけれど、業務の整理がまだ——そんな方は、まずはお気軽にご相談ください。